* 竜の眠る国 *








 ―――帰ってきた!




 いつもお母様に叱られながらお昼寝していた木。


 お祖母様が丁寧に育てたローズガーデン。




 ……それらを見て、嬉しさで涙が溢れる。



 涙で歪む視界には、お城の窓から外を見るカインの姿があった。





 ―――カイン…!




 声を張り上げるのに、カインは気付かない。


 私は近づきたくて走り出す。……が、何故か景色は変わらなくて。




 ―――カイン!




 叫びすぎて、喉が痛い。



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