* 竜の眠る国 *
「名前をずっと呼び続けていた。
“カイン”と…」
表情変えないままの青い瞳が私を映し出し、言葉が出ない。
そんな私の手を掴み、引き寄せた。
「……っ!」
その至近距離に、声にならない悲鳴が出る。
「眠りながら、ずっと泣いていた」
掴む手は強いのに、頬を滑る手は優しくて。
私を見る青い瞳に、戸惑う。
「怖い夢……見たから」
「どんな夢を?」
「家族が……私に気付かないの。
誰一人……」
言いながら思い出して、涙が出そうになった。
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