* 竜の眠る国 *




「ユウナ、母さんが探してたぞ」


 後ろからの声に振り向くと、双子の弟、カインだった。



「ええ、知ってるわ。
 カインが庭でうたた寝してるって告げ口したことも」

 軽く睨むと、カインはクスクス笑ってソファーに座った。



「今日は親戚もみんな集まるから母さんも忙しそうだったんだ。仕方ないだろ?」


 全く悪びれない弟に、苛っとする。



「もういいわよ…」はぁっと息を吐くと、弟は少し反省したのか、


「悪かった。今度は知らないフリするよ」


 と、本当かどうか分からないセリフを口にした。



 カインは昔からずる賢くて、怒られるのはいつも私だったからあまり信用出来ない。

 彼が悪くても、話していくうちに何故か私が最終的に怒られる、なんて日常茶飯事だ。



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