* 竜の眠る国 *
「君は…」
私を見る表情は無表情で。
その瞳が揺れることはなかった。
私は掴まれた両腕に温もりを感じながら、彼の言葉の続きを待つ。
―――けど。
何も言わず、ただ、時間だけが過ぎていくだけ。
彼は戸惑う私に気づいたのか、掴んだ手の力を緩めた。
それでも、放してはくれない。
「……どうかした…?」
口も開かず、私を見つめていた彼の瞳が、僅かに揺れた。
一瞬で気付き、「何があったの?」と聞こうとした、瞬間―――
「ユウナ、具合はどう?」
マーサの呼び声と、扉が開いたのは同時だった。
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