* 竜の眠る国 *




 彼は私から目を反らし、スッと立ち上がりマーサの元へ向かった。



「もう大丈夫そうだ」

「シオン様…っ?!
 あらまあ!いつこちらへ…」


 シオンに気付き慌てるマーサに、私もベッドから出た。



「うつるから来てはいけませんと、あれほど」

「もう熱もない」

「……もしや、こちらでお休みになられたのでは…」


「いや、さっき帰ったばかりだ。

 それより彼女を湯に入れてやってくれ。汗をかいている」



 マーサとシオンのやりとりを見ていたら、マーサと目が合った。



「ユウナ!」



 私がベッドから出たのに気付いた彼女は、シオンの話を中断させ私に駆け寄る。



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