* 竜の眠る国 *
「熱は?具合はどう?
まだ頬が赤いわね。……でも、熱はもう無いわ。
さ、湯の用意をさせるからまだベッドにいなさい」
マーサは私が言葉を発する隙間がない位素早く額に手を当てると、首にも手を当て熱を計った。
その様子に、ママを思い出す。
「さ、横になってなさい」
「もう大丈夫よ?」
「駄目よ。あなた体が弱ってるわ。
それに、少し痩せたわね…。食事の用意もさせなくては。
ちゃんと横になってなさい」
……ママより口うるさいかも。
でも、心から心配してるのが伝わって、嬉しく思ってる自分がいた。
マーサに言われ素直にベッドへ戻ると、彼女はそれを見届けいなくなった。と同時に、扉が閉まる音がした。
……きっと、彼が部屋から出ていったんだ。
そのドアの音に、少し、寂しさが生まれる―――…
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