* 竜の眠る国 *








 フワフワのベッドに横たわると、ふわりと鼻を掠める香り…―――




「シオン……?」



 これは、シオンの香り。



 もしかして、ずっといてくれたから香りが残って…?







 彼と逢ってから、まだ数日しか経ってないのに……

 彼の姿が見えないと落ち着かない。




「……すり込み、とか…?」



 生まれたての雛と同じように、この世界に来てから一番最初に会った人間だから…?



「そうか、きっと…」



 そうに違いない。


 きっと、元の世界に戻ったら忘れてしまう―――…











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