* 竜の眠る国 *




 フフッと笑うマーサを見ていて、何故か申し訳なくなった。


 異世界から来た私を良く思ってない人は、きっと沢山いて……

 ユリアンだってそう。


 私が自由にしているのを見ては、冷たい眼差しを向けてくる。



 ……分かってる。


 本当は、私は囚われの身で。こんな風に自由に居られないなんて。



 そんなこと、分かってる。







「ユウナ、あちらの薔薇が見頃よ。

 行きましょう」



 いつの間にか繋いでいた手は離れ、マーサは庭に出て手招きした。

 呼ばれて、私も慌てて追い掛ける。



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