* 竜の眠る国 *




「体はもういいのか?」

「ええ、大分良くなったわ」



 ……心配してくれてるの?



「そうか。だが、あまり無理はしない方がいい。

 また倒れたら迷惑だ」



 なんて―――気のせいでしたね。



「……気をつけます」


 シュンとした私に気付いたのか、ユリアンは私の頭をポンと叩き、

「シオン様もマーサも心配していた。だから気をつけろ」


 そう言って、頭を撫でる。




 いつもの憎まれ口を言わない彼に、私は慌てて顔を上げた。



「……君はいつも泣いてるか怒ってるかだな」


 フッと笑ったユリアンに、一瞬で私の顔は熱を生む。




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