* 竜の眠る国 *
「……いえ、私が気づきましたので」
ユリアンは、私を見張るためにここにいたのかもしれない。
自然に眉間にしわが寄った。
「……具合でも悪いのか?」
声と同時に、顔をのぞき込まれ慌てて顔を体ごと背けた。
「ち、かい…!」
腕を伸ばし、抱きかかえる彼から離れようと体を捻るけど、彼は抱く力をさらに強めるだけで、びくともしない。
「ユリアン、マーサかナタルを」
「ちょっ ちょっと!
大丈夫だから…っ」
「ダメだ。部屋に戻るんだ」
有無を言わせない彼に、ユリアンは小さく返事をすると早足に居なくなり、私は彼に抱き抱えられるまま、来た道を戻った。
せっかくの散歩がぁ―――っ
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