* 竜の眠る国 *
「泣くな」
気づけば、ボロボロ大粒の涙が流れていて。
それに気づいたシオンが、驚き立ち止まった。
「だって……せっ…か、く外…で、…た、のに…っ」
本格的に泣き始めた私に、彼は何も言葉を発さない。
呆れられたか、迷惑に感じているのか……。
そんな彼に寄りかかり、泣きじゃくる。
「……はぁ。
分かった。少し待ってろ」
言って私の頭にキスを落とし、抱き抱えたまま歩き出した彼。
私は涙が止まり、息が苦しくなる。
―――いま、キスした……?
.