* 竜の眠る国 *









「気持ちいい……」





 全面硝子張りの中は、窓を全て開け放っているため、風がよく抜けた。


 レースのカーテンが風で揺れ、木々の葉の音、鳥の鳴き声、木漏れ日に、私はついウトウトとしてしまう。




「気分が悪いのか?」

「違う……。少し、眠くなっちゃって…」



 座り心地良い曲線を描く長いベンチに、シオンと2人で腰掛け、開け放たれた窓から外を眺めていたけど……

 どうやらあまりの開放感に、緊張が取れ眠気が襲ってきた。



 そんな私の頭を自分の方に引き寄せ、「少し眠ればいい」と低く甘い声で鼓膜を響かせれば―――


 すぐ、夢の中へと迷い込んでいく………











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