* 竜の眠る国 *




「お、お祖母様…」


「あなたのお母様も受けた教育ですよ?

 レディーとしての教養は、いずれ貴方のためにもなります」



 言い終わって、タイミング良くドアをノックする音がした。

 ゆっくりドアが開くと、カインが申し訳無さそうに苦笑いで入ってきた。




「お祖母様、お話中すみません。

 母さんがユウナの準備をするからと呼んでます」


「――あらいけない、もうこんな時間だったのね。
 ユウナも準備をしなくては。

 行きなさい」




 ――た、助かった!




 私が急いでドアまで向かうと、後ろで咳払いが聞こえた。



 いけない…!



「お祖母様、失礼いたします」



 膝を少し曲げ、笑顔で会釈し部屋を後にした。


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