* 竜の眠る国 *







「――出ろ」




 兵士に言われ足を進めると、久しぶりの日差しの強さにくらりとして、目を細めた。



 明るさにようやく慣れてくると、目の前に騎士の姿のユリアンと、兵士2名が立っていた。


 彼は変わらず、私を見る瞳は冷たい。




 本当は、マーサやシオンの事を聞きたいけど……この空気の中、口を開けない。







 手の重さにユリアンから視線を下に向けると、ジャラジャラと鎖がこすれる音がした。



 それは、私の手首に捲かれた鎖の音。







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