* 竜の眠る国 *








 ………体が震える。




 真っ白な広間の先に見えるのは、真っ白な椅子に金の装飾がされた玉座。


 私は両手を縛られ、兵に引きずられるように前に出された。





「そなたが異世界の娘か」



 太く、威厳に満ちたその声に、ゆっくり顔を上げた。



「……確かに、金と紫の乙女だ」



 フッと笑った王様は、確かにシオンのお父様のはずなのに……


 その見た目の若さに驚いた。





 銀糸の髪を一つに結び、青の瞳はシオンと違い、少しつり上がっていた。



 歳はまだ30半ばのようで。むしろ、20代でも通用しそう。


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