* 竜の眠る国 *
「……カイン……怖いよ…」
自分が、怖い。
誰も知らない世界に私一人で。
カインがいない世界で、私は泣きたいほど寂しくて、怖くて仕方ないのに―――
私を元の世界に帰すという彼の言葉に、驚きこそすれ、素直に喜べない自分がいる……。
帰りたいのに……どうしてそれだけじゃないんだろう。
彼が、巫女姫と結婚する。
それが、異世界に帰りたいはずの私の気持ちを揺るがす―――…
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