* 竜の眠る国 *
しばらくして、夕食を部屋で食べ夜着に着替えると、ノックがした。
それ気づき、返事をする前に、扉が開いた。
「すまない。遅くなった」
薄明かりの中、浮かぶのはプラチナの髪と、深海の瞳。
「私はかまわないけど……休まなくていいの?」
もう寝るだけだったから薄着なのを思い出し、慌ててソファーにかかった羽織を広げ肩に掛ける。
彼はそんな私を気にせず近づくと、一人掛けのソファーに座った。
「まず、君の世界の話だが」
話し始めた彼に、ピクリと体が揺れる。
「地下の書庫で調べたんだ。古の唄の乙女について。
金と紫の娘……それが本当に君なら、何か鍵を持っているはずだ」
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