* 竜の眠る国 *
くらり、と目が回った。
彼が少し慌てた様子で椅子から立ち上がり、こっちに来るのが視界の端に見えた。
「大丈夫か?」
ソファーから落ちそうになる私を瞬時に抱き止め、自分にもたれさせるように引き寄せる。
それでも、頭がクラクラして、目を開けていられない。
「ユウナ」
彼の呼び声が、遠くで聞こえる。
その声に、“大丈夫”と伝えたいのに………
私はただ、彼の胸に顔を埋めるだけだった。
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