* 竜の眠る国 *




「エルク…」


『シッ 少し静かに』



 エルクは何かを感じたのか、耳をピンと立てある一カ所をジッと見つめた。

 私は怖くなりそっと彼に寄り添う。



『……ずっとボク達をついてる者がいたんだ。


 ヤツが……来る』



 ―――追っ手?!


 まさかっ


「エルク…!」



『出てくるがいい……


 月光よ、我が命ずる!

 暗き闇を照らせ…!』




 慌てて彼を止めようとしたけど、エルクが叫ぶと同時に、額にある角が光った。


 その光は、月明かりのような青い光で。

 それでも、近くで見るソレは、神々しいまでに眩い光だった。




< 195 / 287 >

この作品をシェア

pagetop