* 竜の眠る国 *
シオン……彼がここに……?
―――…逢いたい。
でも………
「……ダメよ。これ以上彼に迷惑はかけられない」
言って、エルクの耳に顔を寄せた。
「………………お願い…」
『――分かった』
私がエルクにお願いすると、彼は空に向かって心地良い歌を歌い始めた。
すると、風はやみ、鳥たちの鳴き声も消え、辺りは静かになっていく…―――
「ユウナ…!
……っ や、めさ………ろ……」
ユリアンも重くなる瞼を必死に開けながら、私を捕らえようと手を伸ばすけど―――
震える手は空を掴み、そのまま草木生い茂る緑の絨毯に倒れた。
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