* 竜の眠る国 *




 手に取りよく見ると、白金で出来た鍵だった。



「……綺麗」



 窓からの陽を浴び、キラキラ光るその鍵を、じっくり見る。



 持ち手には竜の彫刻。

 差し込み部分には、見た事の無い文字らしきものが彫られていた。




「どこの言葉かな…」


 なんて書いてあるのか分からない。



 裏返したり、マジマジと見ていると、竜の目が一瞬光った。



 あまりに一瞬の出来事で、もう一度鍵の角度を変えてみる。

 すると、また光った。




「これって――」

「ユウナ!」



 光の正体に気づいた瞬間、カインの焦った声がした。

 その声に、反射的に彼に目を向ける。


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