* 竜の眠る国 *
「何してる!ここは開かずの扉なのにっ」
言われて、気付いた。
この部屋は、絶対に入ってはいけないと、お祖父様が生きていらした時から鍵をかけ、子供の頃のママ達も入ったことのない部屋だった。
「鍵がかかっていなかったの。だから……
大丈夫よ?何も無かった」
言い終わる前に、カインが私を抱きしめた。
安心させたくて、私も彼の背に手を回しトントンと優しく叩く。
「なんだか嫌な予感がして……無事なら良かった……
とにかく、早く出よう。
お祖母様に知られたら大変だ」
そう言って、私の手を取り部屋を出ようと急ぎ足で扉に向かう。
そんなカインに連れて行かれる私は、何故か、引き止められるように足を止めた。
「どうした?」
カインの呼びかけに答えず、振り返り、部屋をゆっくり見渡す。
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