* 竜の眠る国 *




 なんで…っ



「おい!何してるっ

 早くそれをはずせ!」



 紫の光に包まれる中、兵士は眩しそうに目を手で隠しながら、光るソレに手を伸ばした。

 ―――が、アメジストはさらに光り輝き、兵士はとうとう両目を閉じた。



「!」


「大丈夫よ。これはお祖母様から貰った、大切なお守りなの。

 だから、安心して」



 何とか光を遮断しようと、光るアメジストを握り締めた。

 すると、光が弱まったことに気付いたのか、兵士はゆっくり目を開いた。



「……それは本当に害はないのか?」


 腰の剣に手を当て鋭い眼光で私を見下ろす。

 その問いに、小さく頷いた。



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