* 竜の眠る国 *




 それでも兵士は警戒している。



 ……正直、持ち主の私でさえ、この現象の意味を知らない。

 でも、お祖母様は私に『アナタを守ってくれる』と言っていた。それなら……




 彼をまっすぐ見ていたら、兵士はしばらくして目を伏せると腰の剣から手を離した。


 途端に、全身の緊張から開放される。



 それでも、手の中の紫水晶はまだ小さく光っているみたいで。

 掴んだ掌に、暖かい熱を感じた。




「……何かあるの?」



 ゆっくりその手を広げる。


 私の呼びかけに、紫水晶は淡い光を放つだけ。





 お祖母様……


 このネックレスには何かあるの?




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