* 竜の眠る国 *





「それをどこで手に入れた」


 私の呼びかけに答えたのは、水晶ではなく兵士だった。



 どこって……


「私の、お祖母様から…」



 この人にどこまで話して良いのかわからない。


 ……信用していいの?




 私が口を閉ざすと、兵士は大きな溜息を吐き、


「そこの扉を、“金と紫の娘”が開けられると聞いた。

 そなたではないのか?」



 金と紫…?



「そんなの……たまたま金髪に紫の瞳なだけで、他にも」


「――いない」



 強い口調で言われ、咄嗟に口を閉じてしまった。……けど、


「いないって……ちゃんと探したの?」



 私の問いに、兵士は暗い表情で「ああ…」と、小さく答えた。



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