* 竜の眠る国 *




「今この国の人間に、金と紫の娘はいない。

 ……もう、100年現れていない」



 ――100年?


「前にはいたの…?」



 シオンもそうだけど、みんな私が初めてみたいに言っていたから、てっきり……



 驚き彼を見ると、彼も私を見た。



「これは、ごく限られた人間しか知らないことだが……

 100年以上前に、異世界から金と紫の娘が降りて来たんだ」



 ……私の他に、誰かがこの世界に…?




「それって…」


「私も詳しくは知らない。 知りたくても、それに関する書物が全て無くなっているんだ」



 そんなのって………




 100年前の出来事を知る人は、もう誰も生きてないわ。


 元に戻るためにどうすればいいのか、書かれてたかもしれないのに……




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