* 竜の眠る国 *




 私の落ち込みように、彼は小さく「残念だ…」と呟いた。



 ここまで来て何も分からないなんて……

 やっぱり彼に……ガルーダに会わないとダメなんだわ。




 しばらくシン、と静まる部屋。

 石を積み上げてできたこの部屋は、冷たい風が時々体を撫で徐々に体温を奪っていた。



 ………扉を閉めてくれば良かった。


 薄着のせいか少し肌寒くなり、カタカタと体が震える中、さっき通った扉を見て、あれ…?と気付いた。



 ここは室内で……扉は―――閉まってる。


 ……なのに、どうして風が吹くの…?




「……どうした?」



 キョロキョロと辺りを見回す私に、兵士は不思議そうに問いかけた。……が、私は一点を見て固まった。



 扉が……あい、て…る……?



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