* 竜の眠る国 *
……何かな。
この部屋は―――
「ユウナ!」
グイッと力いっぱい引っ張られ、カインの胸に力強く抱きしめられた。
「早く出よう。嫌な感じがするんだ」
何故か分からないけど、カインはこの部屋から出たがってる。
私同様、カインも入ったこと無いはずなんだけど……
「分かったわ。早く行こう?」
言った瞬間、カインは私の手を引いて小走りに部屋から出た。
すると、バタン、と閉めてもいない扉が勝手に閉まり、私とカインは慌てて振り向いた。
カインは扉に手をかけガチャガチャとドアノブを回す。……が。
「……鍵が閉まってる…」
その言葉に、無意識のうち貰ったばかりのアメジストのネックレスが入った箱を、胸に抱いた。
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