* 竜の眠る国 *
「竜さん……」
鱗でゴツゴツした皮膚を、ゆっくり掌で撫でる。
ただ、私を縛る手首の縄に気付いたのか、竜は唸るような声で“それは…”と聞いた。
なんだか……怒ってる…?
「これは――…ぅわっ」
答えるよりも早く、彼の口が開かれ私の腕に噛みついた。
「――おい!」
後ろで固まっていたはずの兵も慌てて剣に手をかける。―――が。
パサリ、と私の手首が自由になり竜も顔を上げた。
“この娘に枷など不要だ”
竜のその言葉に、兵は何も言えず黙った。
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