* 竜の眠る国 *
鋭いその瞳に、私は慌ててその体に触れる。
「竜さん、私は大丈夫だから…っ」
すがりつくように彼の体に触れると、彼は顔を私の頭上に下げ目を細めた。
“すまなかった。すぐ会いに来れず……
一人で辛い思いをしたのではないか…?”
竜さんの優しい言葉に、目頭が熱くなる。
「本当に大丈夫だから。
それより……ごめんなさい。
私、アナタと逢ったことを忘れていたの。
あれは……夢じゃなかったのね…?」
見上げた、彼の顔。
私の質問に答えるように、その瞳は微笑んだ。
.