* 竜の眠る国 *





 シオンも言ってた。


 鍵があれば、元の世界に帰れるって。



 でも……


「……ごめんなさい。
 鍵を……元の世界に忘れてしまったの。

 だから…」



 ―――帰れない。




 それ以上の言葉が続かず、俯いてしまった。













 しばらく沈黙が部屋を包む中、部屋の外が騒がしくなっていく。



 沢山の人の足音と、話し声。


 それが徐々に大きくなり、全身に緊張が走る。





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