* 竜の眠る国 *




「確かに私の責任だ。
 だから、私が連れていく」



 シオンの強いその一言に、何が大丈夫なんだ!とエルクが口を開いた瞬間―――視界が薄暗くなった。



「……やっと来たか」


『は…?

 ……え!? ど、どうしてアナタが!』


「遅すぎるぞ」



 厳しい目を“カレ”に向けるシオン。
 その前にいるエルクは、見上げて驚き顔で止まっている。

 そして、そばにいた兵士達は、彼のその巨大さに、腰にある剣に手をかけた。




“………やめておけ。

 そなたたちがどれだけ束になろうと、私には適わない”




 ―――頭に響く低い声。


 その声に、“森の番人”のエルクでさえも身動き取れない。……が、シオンだけは、私を抱き抱えたまま“彼”に近付いた。




「―――契約だ。

 彼女を……ユウナを助けてくれ」




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