* 竜の眠る国 *











 誰……私を呼ぶのは………



 ――――シオン…


 アナタなの………?











「ユウナ…!気がついた?」



 呼び声にゆっくり瞳を開けると、ナタルが泣きそうな顔で私を見下ろしていた。



「……わた…し…?」


「喋らないで。いまマーサ様をお呼びしてきます」



 訳が分からずいる私に、彼女は「絶対に動いてはいけませんよ」と言って、急いで部屋を出ていった。




 ここは……

 城に帰ってきたの……?



 大きな天蓋つきのベッドに横たわる私は、見覚えある調度品に囲まれた部屋を見て、ホッとした。



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