* 竜の眠る国 *




 体をゆっくり起こすと、右腹部にひきつるような痛みが走った。


 私刺されたんだっけ…?

 あれから何日経った?



 途切れた記憶を呼び起こしながらベッドから抜け出ようとした時、慌ただしく部屋のドアが開いた。



「……ユウナ!」


「ちょっ マーサ様!まだお休みになられてます…!」



 ナタルに止められながらも、バタバタと激しい足音が近付く。

 カーテンの向こうに少し大きな影を見た、と同時に、乱暴にカーテンをこじ開けられた。




「………ユウナ…!」


 マーサは信じられないとばかりに目を見開くと、次の瞬間には瞳いっぱいに涙を浮かべ私に駆け寄ってきた。




「―――心配したのよ!
 血だらけのあなたをシオン様が抱き抱えていた時どれだけ…っ」


 ギュッと抱き締められて。よろけながらもマーサの温もりが嬉しくて、私も抱き締め返した。


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