* 竜の眠る国 *
「心配かけてごめんなさい」
マーサの暖かさに安心したのか、自然に笑顔になる。
マーサは私を抱きしめていた手を緩め、泣きながらも笑顔で私をまたベッドに戻した。
「傷は塞がったけど無理しない方がいいわ。
こちらで食事を取りましょう」
ナタルを呼ぶと、話を聞いていたのか小さく返事をしてすぐに部屋から出ていった。
マーサは私を見ると困ったように笑い、
「……少し痩せたわね。
無理もないわ。あなたはずっと眠り続けていたんだから」
独り言のように呟くと、私の額に手を伸ばし額にかかった髪の毛を避けた。
「私はどれくらい寝てたの…?」
久しぶりに声を出したせいか、自分でもビックリするほどに小さな声だった。
その声を聞いて、マーサはフッと笑うと「そうねえ…」と私の手を握った。
「あなたがこの城に戻った時には意識がすでになくて……ちょうど4日目よ」
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