* 竜の眠る国 *





『私の名は……ユウナ』



 瞳を見つめたまま小さく答えると、竜は頭を少し下げ、翼を閉じた。




“ユウナ……そなたに私の名を授けよう”



 低く響く、その声。


 私の答えを待たず、竜は続けた。





“我が名は――――”




『……えっ…?』



 続きが、聞こえない。


 風は渦を巻き私の周りを駆け抜ける。





『……っ だめ…!何を言ってるか分からないわ!』




 竜の声がかき消される。



 風は柔らかく吹くくせに、力強くて飛ばされそう―――…


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