* 竜の眠る国 *




「ごめんね、恐がらせて。

 私はユウナ。
 この森で迷子になってしまったの」



 ゆっくり川から出て、固まる動物達に近付いた。


 彼らは逃げもせず、私が近づくのを待っている。



チチチ…チチ…


 小鳥がその様子を見て、鹿の背中から私の肩に止まった。

 その鳥は、青銀の翼に黄色と濃紺の線が入った、美しい鳥だった。




「大きな蝶々に追いかけられて逃げてきたの。

 それで、疲れてこの川に…」



 もしかしたら、この川は彼らの水飲み場だったのかもしれない。


 肩の鳥に説明すると、私の頬にすり寄ってきた。

 その温かさに、ホッとする。




 ……鳥もリスも、ウサギに鹿だっている。

 なのに、何故蝶々はあんなに大きいの?


 それとも、白昼夢でも見たのかな……。



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