* 竜の眠る国 *




 とにかく岸に上がらなきゃ!



 慌てて水の中を歩くけど、水底の砂に足を取られてうまく進めない。


 それでも、得体の知れない何かへの恐怖に、必死に足を進めた。


 ………けど



「…っ」

 砂の中の何かに足を切り、痛みに足を止めた。




チチチッ…チチ…チチッ



 青い鳥が私の頭上を飛び回る。




 ……分かってる。

 急いで岸に上がらなくちゃいけないのに…っ



 痛さを堪え、また水中を進む。



 岸まで、後少し―――


「!!」


 ―――だった。




 岸につく前に、水中の“何か”に、足を掴まれてしまった。


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