* 竜の眠る国 *





「いや…っ ぷは……っ」



 掴まれた足が引っ張られ、水中に引き吊り込まれる。



「だっ れ、……か!

 ……っ」



 バシャバシャと水しぶきをあげ必死でもがくけど、息も苦しく力が入らない。

 引きずり込まれた瞬間、水中で目を開けると、私の足は掴まれてるのではなく、何かが巻き付いているようだった。



バシャバシャッ

「ぷはっ……はぁ…っ
 はぁ…っ」



 一瞬、引き吊り込む力が弱まり、私は慌てて水面に顔を出して必死に息を吸った。……が、


「ぶふ…っ」



 とうとう、水中深くに引き吊り込まれてしまった。





 ああ……もう、ダメかもしれない……



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