* 竜の眠る国 *
彼の質問に答えられずにいると、
「誰か、彼女に着替えを」
後ろを振り向き誰かに話しかけた。
ビクリとする私を無視し、彼は着けていたマントを外すと、私の肩にかける。
「とりあえず、君を城に連れていく。
そこで湖に何故入ったのかを説明してくれ」
言って、立ち上がった男の服を、慌てて掴んだ。
「あなた、は誰?
ここはどこ…?!」
この世界に来てから、聞きたいことが沢山あった。
「……やはり他国の者か」
男は、一瞬驚いた顔を見せたけど、すぐに元の表情になり、私の手首を掴んだ。
「この湖は我が国の守り神がいる神聖な湖だ。
神官以外立ち入ってはならない場所。
よって、君を捕らえなければならない」
―――は?
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