* 竜の眠る国 *




「蛇…?」



 私の話を聞いていた彼が、険しい顔になった。


 何か思い当たるのかな……



「ええ。蛇のような何かが私の足に巻き付いて…」



 湖の底に引き吊り込まれて―――



「大丈夫か?」



 彼の声に、我に返った。


 彼は、私の体が震えているのを寒いと勘違いして、マントを頭まで被せた。



「大丈夫よ。大丈夫…」




 あれは、本当に蛇だった……?


 あれは―――




チチチ……チチ…チチチ……



 聞き覚えのある鳴き声に、慌てて声の主を捜した。


 彼も私につられ、頭上を見る。


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