* 竜の眠る国 *
「ダメよ! この竜は危険じゃない!
お願いだから剣を仕舞って!」
慌てて止めるけど、彼は私を見ることなく、竜に剣を向けたまま。
“私を切るか……”
「……お許し下さい。
あなた様は聖竜……剣を向けてはならぬ方。
しかし、この娘を今は貴方様にお渡しする事はできません。
どうか、水の神殿にお戻り下さい」
険しい表情の彼を前に、更にくくっと笑い始めた。
“私に剣を向け、この娘を助けるか……そなたは。
くっくっくっ……
そなたは良い目をしている”
「ガルーダ…!
彼は私を助けようとしてくれたの!だから…っ」
「おい、それ以上近寄るな!」
私が彼の前に出ようとすると、慌てて私の腕を掴み自分の影に匿おうとする。
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