* 竜の眠る国 *
「……怪我をしているな。
裸足で走るからだ」
足の裏をいつの間にか切っていた私に気づき、背中におぶらせてくれたユリアン。
口調は厳しくとも、何故か暖かさを感じることの出来る人。
「……ありがとう…」
小さくお礼の言葉を言った瞬間、涙が頬を濡らした。
……帰りたい。
パパとママ、カインのいる世界へ……
「カイン……逢いたいよぉ…」
この場所に来てから、ずっと聞こえるカインの声。
双子だから分かる。
彼は、私を捜してる……
ずっと呼び続けてる。私の名を………
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