* 竜の眠る国 *




「あ…っ まだ走ったらダメよ!」



 叫び声を背中で受けながら、出口を探す。

 すると、木で出来た重厚な扉を見つけた。


 思い切って開け、あまりの重さによろけながらも、何とか裸足で部屋から飛び出した。









 どうして私はここにいるの……?


 どうして夢から覚めないの……?






 ガラスで覆われた広く長い廊下を、駆け足で走り抜ける。

 前に二人、私に気付いた兵士らしき人が、こちらを指差し何か叫んだ。



 ―――捕まったら何されるか分かんないっ!




 廊下は全面ガラス扉に覆われていて、咄嗟にそこから外に飛び出る。


 裸足なのも気にせず、ひたすら走った。



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