* 竜の眠る国 *






「も、……無理っ」




 走って走って、いつの間にか目の前には林が広がり。


 私は迷うことなく足を進めた。







「…はぁ、はぁ…っ はぁ…、」




 林に入りしばらく進むと、追っ手は嘘のようにいなくなった。

 後ろを確認しながら歩き続けるけど、すでに疲れでフラフラする。


 整理されてるとはいえ、さっきの芝生よりは足場は悪く、ふと足元を見ると、足は泥だらけだった。



 ……どこか水場はないのかな。


 周りを見ると、木々の隙間から光が差し込んで、苔に覆われた樹木や草花がキラキラと光っていた。



「綺麗…!」



 足を止め、しばしその光景に見とれた。


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