月夜の逢瀬~皇太子様と紫苑の姫君~
あとがき・解説
こんにちは。
初めましての方も、お久しぶりの方も。
此度は、「今宵、貴方の隣で」ご愛読頂き、誠にありがとうございます。
この作品、私自身かなり苦労した作品となっており、その分思い入れも強くなっております。
あとがきにて、少々語らせて下さいね。
まず、一番気を付けたのは、『平安時代の雰囲気をいかに出しながら、胸キュンを詰め込むか』です。
優雅できらびやかなこの時代。
詩を送りあったり、美しい習慣がたくさんありました。
まず、言葉の一つ一つが美しい。
そんなことを意識しつつ、何度も弥生や音人様の発する言葉を作り直しました。
本当は、音人様から送られてくる詩も作りたかったんです。
しかし、自分の古典文法能力を省みて、締め切りを考えて、これじゃ間に合わん……!と。
泣く泣く諦めて、この形になりました。
特に終盤で弥生さんが房に残した音人様宛の手紙は和歌にしたかった……!と思うのですが、二·三作ってあまりにもセンスがなくて手紙にしてしまいました。ですがまあ、和歌を贈り合うのは恋仲の男女がすること。花にのみ想いを託して去ろうとした弥生さんですので、敢えて歌ではなく手紙にしたのではないかと……そう考えることにしました。もっと私に古典力があれば和歌を作りたかったです。
それから、音人様が予想以上に自由奔放な皇子さまになってしまい……。
女官からは逃げるわ、中庭には忍び込むわ、護衛もつけずに単身馬に乗って弥生さん追いかけるわ……。
挙げ句のはてに、馬に弥生さん乗っけるとこはかなり悩みました。どうしようこんなの絶対ありえない、苦情来る……とですね。
でもこうするしかラストシーン書けないし、寺にいくのに十二単を着ているわけではないからそこそこ動きやすいかも。などと自分を説得して書きました。
……音人様が大人しくない皇子さまなので、仕方ないということにしてください(深い土下座)。
弥生さんも音人様に振り回されてましたが、おそらく彼に一番迷惑被ってるのが作者の私です。
それから、平安時代という実際にモチーフのある世界観のもとで話をつくるというのもなかなか大変でした。
自由に話を広げようとすると、その時代の慣習から離れていく。かと言って、この二人を慣習に合わせてしまおうとすると、全く望みのない物語になってしまう。
身分差の恋なんて、叶うはずのない時代。
その相手が皇子だったらなおのこと。
単純にハッピーエンドにするわけにもいかず、けれど悲恋にはしたくない。
無い知恵振り絞って考えた結果、少々強引ですがあの形で終わらせました。
弥生さんが、後継者となるような男の子供を産めば、少しは地位が確立するんじゃないでしょうか。
……うん、そういうことにします。そういうことにしてください。←
それから、作中に出てきた花について。
待宵草、紫苑、桔梗と出てきましたが……。
この花たち、実はいずれも夏の花なんです。
待宵草は5~9月、紫苑は9~10月、桔梗は6~9月。
何となくこの時期の作品だし冬のイメージで読まれている方もいらっしゃるかと思いますが、おそらく本作の時間軸は9月頃ではないかと思います。
旧暦でいうのなら、10月でしょうか。
本当は冬の花を出したかったのですが……でも待宵草と紫苑で書きたかったんです。
まだまだ語りたいけれど……そろそろ口説いですね。
残りはきっとブログやらに載せるかもしれないので、気になった人だけ覗いて見てください。
思い入れが強いだけに、不安も多いこの作品。
気に入って、何かを感じ取って頂けたのなら幸いです。
感想など頂けたら飛び上がるほど喜ぶと思います。
それから、テーマ曲というわけではないのですがこれを書く際に私がイメージにした曲がありますので一応書いておきますね。
歌詞のストーリーに寄せたとかそういうわけではないのですが、なんというか曲調とかをイメージに。
柴咲コウさんの、『恋守歌』という曲です。
もし興味をもって、聴いた!という方がいたら、是非感想とともにお伝えください。私がすごく喜びます。
……嗚呼、前代未聞なほどにあとがきが長い。
ここまで付き合ってくれた貴方に、深い感謝と愛を捧げます。
2013年12月28日
紫月 瑠維