ストロベリー・キス
そんなふたりのクリスマス
「ねぇ美玖姉。いつになったらクリスマスを彼と一緒に過ごすつもり?」
3つ年下の妹、美世(みよ)がダイニングテーブルの私の正面に座りながら話しかけてきた。
「そんなこと、美世に話す必要ないでしょ」
目を合わさず味噌汁をすすりながら答えると、背後からクスクスと笑い声が聞こえてきた。その声がする方を目だけで追えば、母親が肩を震わせて笑っているのが見えた。
「お母さんまで……。クリスマスに男と過ごせって、誰が決めたの? それって法律?」
意地を張ってそう言ったものの、私だってもう26のいい大人だ。いつまでも両親とクリスマスを過ごしてる場合じゃないことくらいわかっている。
でもクリスマスを彼氏と過ごしたくたって、相手がいなきゃどうにもならないことで。それだって、誰でもいいわけじゃないし。
と言うか、私がクリスマスを一緒に過ごしたい人は、実はひとりしかいなくて。
彼のことを意識し始めた頃から、その気持ちはずっと変わっていなくて……。
でもそれは彼との距離が近すぎて、好きになればなるほど自分の気持ちが伝えられなくなってしまっていた。
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