lastらぶ
お母さんに連れられて、中に入ると、同じように黒い服を着た人たちがたくさんいた。

そして、笑っている人は1人を除いていなかった。


笑っている人。視界に入ったのは、涼ちゃん。

涼ちゃんが笑っていた。


私の正面遠くに、涼ちゃんの笑っている写真が、すごく豪華な写真たてに入れられて、私の大好きな笑顔で写っていた。

まるで涼ちゃんが、また笑いかけてくれたように思い、私はその写真に向かって笑いかけた。

涼ちゃんは、私に笑い返してくれた気がした。


私はすごくホッとした気分になった。



席に着くと、お坊さんがなにやらをポンポンと叩き、意味不明な言葉を発している。

あれは歌っているというのか…

同じ音程で歌っているものが、私には苦痛だった。


たまにチーンという鉄の音が、建物じゅうに響き渡る。



すると涼ちゃんのお父さんとお母さんが立ち上がった。

みんなの方を向いて礼をした。

そしてお坊さんの方へ歩いていった。


何かをつかみ、鼻の方へ持って行き、ぱらぱらとまいた。


席に戻ると、涼ちゃんのお母さんはハンカチで目を押さえていた。

涼ちゃんのお父さんは、お母さんの肩を抱いていた。

必死に涙をこらえていた。。













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