lastらぶ
それが終わると、私の背丈くらいの木の箱が開けられた。

その中には、涼ちゃんがいた。

にこやかに笑って寝てた。

今にも「厚知ちゃん」って起きだしそう。

私の手には涼ちゃんが好きなゆりの花。

みんなもたくさん持ってた。



それを涼ちゃんの横や、体の隣に、箱いっぱいに敷き詰めた。

私は、涼ちゃんの顔の横に置いた。

お母さんは泣いてた。

みんな、泣いてた。

それを見てたら、なにやらが理解できたのか、涙が出てきた。

“涼ちゃんは死んじゃったんじゃないか”って。



前、テレビで見た事がある。

死んだら、箱の中に入れられて、花をいっぱい敷き詰めて…

それを焼く…って。





「最後のお別れだからね」

『ぅん… 』

実感が湧かなくて、いなくなっちゃうなんて…

想像もつかなくて…

泣けない…

泣きたい気持ちでいっぱいなのに…

涼ちゃん…逝かないで…。



しばらくすると、ある部屋に連れていかれた。

そこは、変なにおいがした。


「涼ちゃんの灰だよ。。この中に入れてあげようね。」

そう言って、長い箸を渡された。

灰…?

小さい木箱の中に、つかんで入れた。

そして、お母さんが持っていた小さな瓶に灰を入れた。


「これが、涼ちゃんだからね…いつでも厚知のそばに、涼ちゃんはいるからね。。。」

『うん。』


それから、私はいつも、その瓶を持ち歩くようになった。































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