赤鼻のトナカイ
「千絵美ちゃん、12月の24日って、バイトに入れるかな?」
12月の半ば、店長からシフトの確認をされた。
大学のほうも順調で、彼氏もできていないために暇なわたしは、深く考えずにあっさりうなずく。
とたんに店長は、ほっとした顔になった。
「良かった! 鳥羽ちゃんのほうはクリスマスの日は無理だっていうから。いやぁ、千絵美ちゃんが入れて良かった良かった!」
「え? 鳥羽ちゃんは予定があるの?」
思わず、わたしは、後ろにいた鳥羽ちゃんのほうへと振り向く。
すると、鳥羽ちゃんは、てへっと笑いながらわたしに謝った。
「すみません、千絵美さん。その日は彼氏とクリスマス会で」
「――鳥羽ちゃんって、彼氏がいたんだ……」
ショックを受けた表情のわたしに、にやけた顔のままで、鳥羽ちゃんはこっそり耳打ちをする。
「でも、千絵美さんはバイトをしていたら、例の彼氏が買い物に来ますって! 大丈夫!」
「彼もクリスマスを彼女と過ごすなら、たぶん来ないと思うんだけれど……」
わたしの言葉に、あ、そうかと返してきた鳥羽ちゃんを睨みつける。
まさかと思うけれど、もし水島くんが彼女を連れて、買い物に来たら……。
ただでさえ寂しいクリスマスが、きっともっと、惨めに感じられてしまうだろう。
12月の半ば、店長からシフトの確認をされた。
大学のほうも順調で、彼氏もできていないために暇なわたしは、深く考えずにあっさりうなずく。
とたんに店長は、ほっとした顔になった。
「良かった! 鳥羽ちゃんのほうはクリスマスの日は無理だっていうから。いやぁ、千絵美ちゃんが入れて良かった良かった!」
「え? 鳥羽ちゃんは予定があるの?」
思わず、わたしは、後ろにいた鳥羽ちゃんのほうへと振り向く。
すると、鳥羽ちゃんは、てへっと笑いながらわたしに謝った。
「すみません、千絵美さん。その日は彼氏とクリスマス会で」
「――鳥羽ちゃんって、彼氏がいたんだ……」
ショックを受けた表情のわたしに、にやけた顔のままで、鳥羽ちゃんはこっそり耳打ちをする。
「でも、千絵美さんはバイトをしていたら、例の彼氏が買い物に来ますって! 大丈夫!」
「彼もクリスマスを彼女と過ごすなら、たぶん来ないと思うんだけれど……」
わたしの言葉に、あ、そうかと返してきた鳥羽ちゃんを睨みつける。
まさかと思うけれど、もし水島くんが彼女を連れて、買い物に来たら……。
ただでさえ寂しいクリスマスが、きっともっと、惨めに感じられてしまうだろう。